―介護美容研究所 修了アセスメント発表に参加して―

介護美容研究所で行われた、修了アセスメント発表に参加してきました。

生徒さんたちが、実際に高齢者の方と関わり、その方を知り、考え、試行錯誤しながら取り組んできた介護美容。

一つひとつの発表を聞きながら、改めて感じたことがあります。

それは、

介護美容もアロマセラピーも、「何をしてあげるか」だけではない。

その方が、その方らしくいられる時間をどうつくるか。

そこに大切な役割があるのではないか、ということでした。

介護美容研究所では、ケアビューティーを、美容の技術を通して高齢者の「自分らしさ」や「生きる力」を届け、笑顔のある暮らしを支援する仕事と位置づけています。

また、アセスメントでは、美容サービスを提供すること自体をゴールとするのではなく、その方の普段の生活や「こうありたい」という思いを知り、観察・計画・実施・振り返りを重ねながら、その実現を支えていくことが大切にされています。

今回の発表の中で、特に心に残ったことがいくつかありました。

◯「施術前に、画像を見せる」

これから何をするのか。

言葉だけではイメージしにくい方にも、写真や画像を見ていただくことで、「こんなふうになるんだ」と安心していただける。

これは単なる説明ではなく、ご本人が理解し、選び、納得して受けるための工夫なのだと思います。

年齢や認知機能にかかわらず、その方の自己決定を大切にすること。

2026年に公表された介護美容ガイドラインでも、利用者の自己決定や尊厳を尊重した対応が重視されています。

◯「五感が満たされることが、その人らしさにつながる」

今回、私自身がアロマセラピストとして、とても心に響いた言葉です。

香りを感じる。

人の手の温かさを感じる。

心地よい音を聞く。

色を見る。

会話を楽しむ。

介護美容は、見た目を整えることだけではありません。

五感に働きかける時間の中で、ふと昔の記憶がよみがえったり、好きだったものを思い出したり、「私はこれが好き」と表現できたりする。

そんな瞬間に、その方の人生や個性が見えてくるのかもしれません。

私がアロマセラピーの現場で大切にしている「香り」と「タッチ」も、まさに五感を通してその方とつながるものです。

◯「一期一会。次回が必ずあるとは限らない」

この言葉も、とても印象に残りました。

「また次回続きをしよう」

「今度もっとお話を聞こう」

私たちはついそう考えてしまいます。

けれど、高齢者の方との関わりでは、次回も同じようにお会いできるとは限りません。

だからこそ、

今日、この時間をどう過ごしていただくか。

目の前にいるその方に、今できることを丁寧に届ける。

一回一回の施術や会話を大切にすることの意味を、改めて考えさせられました。

◯「擬音を使う」

「ふわっと」

「すーっと」

「トントン」

「くるくる」

難しい説明よりも、こんな言葉の方が伝わることがあります。

相手に合わせて、伝え方を変える。

正しく説明することだけではなく、その方に届く言葉を選ぶこともケアの一つなのだと思います。

これは高齢者の方だけではありません。

アロマトリートメントでも、「力を抜いてください」と伝えるより、「ふわっと腕を預けてくださいね」とお声がけする方が、身体が自然に緩むことがあります。

言葉もまた、触れることと同じように、その方との距離を近づけるものなのだと感じました。

◯「香りからの空間づくりが、信頼関係を担う」

そして、アロマセラピストとして最も深く考えさせられたのが、この視点でした。

香りは、単に「いい香りを漂わせるもの」ではありません。

その場所に入った瞬間に感じる安心感。

これから始まる時間への期待。

「ここなら大丈夫」と感じてもらえる空気。

施術は、手が触れてから始まるのではなく、その方を迎える空間からすでに始まっている。

 

そう考えると、アロマセラピストが介護美容の中で担える役割は、まだまだたくさんあるように思います。

 

技術の先にあるもの

今回の発表を聞きながら、私自身がこれからアロマセラピストとして、そしてセラピストを育てる立場として大切にしたいことが、改めて見えてきました。

上手に施術すること。

精油についてたくさんの知識を持つこと。

もちろん、それも大切です。

でも、その技術や知識は何のためにあるのか。

目の前の方をよく見ること。

その方の言葉を聞くこと。

言葉にならない反応を感じ取ること。

香り、触れ方、声、空間を、その方に合わせること。

そして、

「この方は、どんなふうに過ごしたいのだろう」

「何を大切にして生きてこられたのだろう」

と想像すること。

 

介護美容研究所が掲げる「自分らしさや生きる力を届ける」という考え方は、私がこれまでアロマセラピーを通して大切にしてきたこととも重なります。

 

美容だからできること。

香りだからできること。

そして、人の手だからできること。

AIや技術がどれだけ進歩しても、目の前の人を感じ、その方に合わせて手を差し出すことには、人だからこそ生み出せる価値があります。

今回、生徒さんたちの発表から、私自身もたくさんの学びをいただきました。

これからも、香りとタッチを通して、

「その人らしさに、触れる。」

そんなアロマセラピストでありたいと思います。