香寺ハーブ・ガーデン 福岡譲一先生のセミナーから学んだこと

8月30日、神姫バス株式会社主催で、香寺ハーブ・ガーデンを長年経営されている福岡譲一先生のセミナーが、monzen ギャラリースペースで開催され、参加させていただきました。

福岡先生は26歳からハーブの事業に携わり、そこから43年間、植物と向き合い続けてこられた方です。

今回のお話を伺って強く感じたのは、単に「ハーブや精油についてたくさんの知識を持っている」ということではありませんでした。

長い年月をかけて植物を育て、収穫し、蒸留し、研究し、商品として人に届けてこられたからこその、言葉の重み。

そして何より、

「植物の可能性をもっと知りたい」

という探究心を、今も持ち続けておられることがとても印象的でした。

「収穫から3時間以内」植物の鮮度へのこだわり

セミナーの中で特に驚いたのが、植物を収穫してから蒸留するまでの時間についてのお話でした。

香寺ハーブ・ガーデンでは、収穫した植物をできるだけ良い状態で活用するため、収穫から3時間以内に蒸留することを大切にされているそうです。

海外では、植物を乾燥させてから蒸留するケースもあるとのこと。

同じ植物、同じ名前の精油であっても、

「どこで育ったのか」
「どのような水で育ったのか」
「いつ収穫されたのか」
「収穫後どのように扱われたのか」

その背景によって、私たちの手元に届くものには違いが生まれます。

夢前町にある第二工場についても、水質の良さを活かした製品づくりのお話がありました。

普段、私たちは小さな精油瓶を手に取ります。

けれど、その一滴ができるまでには、植物を育てる人がいて、収穫する人がいて、蒸留する人がいる。

改めて「精油になる前の植物を見ること」の大切さを感じました。

精油だけですべてを考えない

そして今回、アロマセラピストとして特に心に残ったのが、

「精油だけではなく、植物全体を考える」

という視点でした。

私たちはアロマテラピーを学んでいると、どうしても「この精油にはどんな成分が含まれているのか」「どんな特性があるのか」というところに意識が向きがちです。

けれど、植物の活用方法は精油だけではありません。

ハーブティーとして飲む方法もあれば、チンキとして利用する方法もあります。

福岡先生からは、カモミールをはじめ、ハイビスカス、コリアンダー、レモンマートル、オリーブ葉、アグリモニー、ジュニパーベリー、ゼラニウム、ラベンダーなど、本当にたくさんの植物についてのお話を伺いました。

睡眠に関するハーブの使い方やハーブティーの量、水出しという方法など、日常の中で植物を活用するためのお話もありました。

さらに、植物に含まれる成分や研究、医療・研究現場での活用事例についても触れられ、植物にはまだまだ私の知らない世界があることを実感しました。

※セミナーでは、疾病や身体機能に関連した研究・活用事例についても幅広く紹介されました。本記事はセミナーで伺った内容と学びを記録したものであり、特定の疾病に対する治療効果を示したり、医療行為の代替を推奨したりするものではありません。治療中の方は医師・薬剤師等の専門家への相談が必要です。

何年学んでも「知らないこと」がある

私はこれまでアロマセラピストとして現場に立ち、またアロマセラピストを育てる講師として、精油や植物について学び続けてきました。

それでも今回、

「まだまだ知らないことがたくさんある」

と感じました。

でも、それは決して残念なことではありません。

むしろ、知らないことがあるからこそ面白い。

「なぜだろう?」

「もっと知りたい」

「本当にそうなのだろうか?」

そんな疑問を持つことが、学び続ける原動力になるのだと思います。

講師という立場になると、つい「教える側」でいなければならないと思ってしまいます。

けれど、本当に大切なのは、

教える人である前に、学び続ける人であること。

今回の福岡先生のお話を伺い、改めてそう感じました。

「慌てず、焦らず、ゆっくりと」

そして、もう一つ心に残った言葉があります。

「慌てず、焦らず、ゆっくりと。」

長い年月、一つのことを続けてこられた方の言葉だからこそ、私にはとても深く響きました。

植物は、種を蒔いた翌日に大きくなるわけではありません。

芽を出し、根を張り、葉を広げ、花を咲かせるまでには時間がかかります。

これは、人も仕事も同じなのかもしれません。

すぐに結果が出なくてもいい。

誰かと比べなくてもいい。

自分が大切だと思うことを、一つずつ積み重ねていく。

振り返ったとき、その積み重ねが自分にしか歩めない道になっている。

43年間ハーブの世界に携わってこられた福岡先生のお話を伺いながら、そんなことを考えていました。

AIの時代だからこそ、セラピストに必要になるもの

そして私は今回のお話を聞きながら、これからのアロマセラピストについても考えていました。

今はAIを使えば、植物の名前や成分、精油に関する情報を短時間で調べることができます。

これからは、知識を「持っている」だけでは、専門家としての価値を伝えることが難しくなるかもしれません。

だからこそ私は、これからのアロマセラピストには、

知識+経験+人と向き合う力

がますます大切になると思っています。

植物に実際に触れる。

香りを嗅ぐ。

人の身体に触れる。

目の前の方の言葉を聞く。

その日の表情や声の調子を感じる。

そして、その方に必要なものを一緒に考える。

これは、情報を検索することとはまったく違う仕事です。

AIに助けてもらえる部分は上手に助けてもらいながら、人だからこそできることを、もっと大切にしていく。

それが、これからのアロマセラピストの一つの在り方ではないかと思っています。

私も「次の人へ届ける人」でありたい

今回のセミナーを通して、植物についてたくさんの知識をいただきました。

でも、私が一番持ち帰ったものは、知識そのもの以上に、

「一つのことを長く続け、学び続ける姿勢」

だったように思います。

私自身もアロマセラピストとして現場に立ちながら、これからアロマセラピストを目指す方々を育てています。

資格を取ることがゴールではなく、

「学んだことを、どう目の前の人のために使っていくのか」

「自分だからできることは何なのか」

そこまで一緒に考えられるセラピストを育てていきたい。

そして私自身も、まだまだ学び続けたいと思います。

植物を知る。

人を知る。

経験する。

疑問を持つ。

そして、それを次の人へ手渡していく。

慌てず、焦らず、ゆっくりと。

私も自分の歩幅で、これからのアロマセラピストに必要なものを一つひとつ積み重ねていきたいと思います。

福岡先生、そして今回このような貴重な学びの機会を企画してくださった皆さま、本当にありがとうございました。

とても心に残る一日となりました。